おれたちの青空

 

第26回坪田譲治文学賞受賞作『おれのおばさん』の続編です。

 

父親が横領の罪で服役、東京の進学校から一転、母親の姉が運営する札幌の児童養護施設に入った14歳の陽介を描いたのが前作。今度は「おれたち」のタイトル通り、陽介のほか、同じ施設の親友卓也と、施設を切り盛りする恵子おばさん視点の物語の3編があります。

この2冊、両方青空バックの写真が表紙です。

 

表紙画像を取り込もうとして、アイコンをみると、ぱっと見どっちがどっちがわからず、「青空だから、空が明るい方だったかな」と開くと、より青い方が『おばさん』でした。『おれたちの青空』って、バリバリ青春小説とか、熱血先生が出てくるテレビドラマみたいなタイトルだなと思いましたが、表紙の空は、そんなに明るくないんですね。

そう思って両作品を読むと、前作は、困難にあって挫折した陽介が、さまざまな出会いや葛藤、恋も経て、生きる方向を見出していくという成長物語でしたが、続編はもう少し複雑です。

 

卓也視点の「小石のように」では、親から受けた虐待、施設職員の暴力、学校でのトラブルへの親のひどい対応、その親が破産して家出してきた友人、など厳しい問題が次々出てきます。「あたしのいい人」では、パワフルな恵子おばさんの、生まれ故郷への反発とか、立ち上げた劇団の失敗、離婚、親の介護など数々の苦労が描かれています。

 

これらは雑誌「すばる」に掲載されていたもので、児童書として読まれることを想定していないのかもしれません。でも逆に若い読者に、善悪がはっきりしないものごと、複雑で理不尽な大人、などを知るきっかけになる作品では、と思います。明るくないといっても、最後は青空につながるような爽やかさも、もちろんありますので。

『おれたちの青空』

佐川光晴 2011年11月(集英社)