アート少女―根岸節子とゆかいな仲間たち

YAの定番、部活もの。これは中学校の美術部が舞台です。

 

 輝かしい成績を残した3年生が引退したあと、弱小部活として学校から目をつけられている美術部。部活の存続をかけて、部長根岸節子はじめ個性的な部員たちがさまざまな作戦を立てて活躍する、という痛快な青春物語でした。

 

逆境のなか、仲間とともにがんばり成長する、というのは部活小説の定番でもありますが、美術部という独特の存在感の部活だけに展開がユニークです。部費も部室もないため、運動部を回ってモデルを頼み、そのデッサンをファンの子たちに販売する(後にバレて返済)とか、なかなか笑えます。

 

さびれた商店街のシャッターに絵を書くバイトをしたら、地域コミュニティの活性化にも役立った、など現実的にいい話だったりします。 

 

学校評価をあげることに躍起な校長が部活を続ける条件として出した「部員5人以上」「県展の入賞」などのハードルも、ストーリーにメリハリがつくきっかけにもなっています。

 オタクやひきこもり、ミーハー女子や超個性的な不思議ちゃんら部員たちのキャラクターも、ちょうどいいバランスですね。ところどころ美術に関するうんちくが盛り込まれているのですが、不思議ちゃんの名前が草間さつきなどパロディもあったり、ネタを探すのも楽しめます。

 ところで主人公は「根岸節子」とフルネームで呼ばれたり、部員をまとめて「根岸節子となかまたち」といわれたりしていますが、確かにフルネームで呼ばれやすい子っていますよね。一目置かれているのか、存在感があるのか。根岸節子は確かにそんな子でした。

 

 主人公達と一緒にワクワクドキドキして、あー面白かった、と読み終えられる、YAエンターテインメント小説です。(makio)

『アート少女―根岸節子とゆかいな仲間たち』

花形みつる著

ポプラ社 2008年4月初版