終点のあの子

 

以前読んでレビューを書きそびれていたのですが、先月文庫版が出ていたのでやはり書いておきます。

 

本書はある私鉄沿線のプロテスタント系女子高校を舞台にした連作短編集。学校の様子や立地などかなり具体的に描写しているので、おおよその目安はついてしまうのですが、東京都内のいわゆる私立のブランド女子中高一貫校での女子高生活が描かれています。

内部進学のごく普通の希代子が、高校から入ってきた自由奔放な朱里に憧れ、やがてそれが反発、攻撃に転じたり、ふだん全く別のグループにいるギャル恭子と文化系女子早智子が交流したりなど、友情、いじめ、対立などが複雑に変化していく様が、さほど重くなく淡々と連なっています。

前述のとおり、物語に登場する商品名、曲名などの表現が細かく、実名のものも多いので、登場する女の子達が想像しやすいのが特徴的です。

中学から変わらないアッキーが好きなのが無印の干し梅と赤西君、地味グループを脱したい奈津子が聞いているのがチャットモンチー、相対性理論を聞くサブカル好きカトノリが、クラスの中心の恭子の彼が車でEXILEを流していると莫迦にしていたり、など絶妙な選択では。

 

また住んでいる地域も、立会川、神泉、町田などの地名が書かれ、通っている子たちさまざまなバックボーンや生い立ちが想像できます。

著者は収録作「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞、1981年生まれだから女子高校生の感覚には近いのでしょう。連作の最後「オイスターベイビー」は朱里の卒業後の大学時代を描いていますが、女子高感覚が濃厚に漂い、少々痛々しい仕上がりになっていますが、それもまたリアルなのでしょうか。児童文学作家ではなく、本作以降は一般向けの小説を発表していますが、若い読者向けの作品も読んでみたいと思いました。(makio)

『終点のあの子』

柚木麻子著 文藝春秋 2010年5月