クレヨン王国の十二か月

大晦日の夜、ユカは部屋の片隅から聞こえる話声で目を覚ましました。十二色のクレヨン大臣たちが、クレヨン王国のゴールデン国王の失踪について会議を行っていたのです。

 

ゴールデン国王は、お妃であるシルバー王妃の抱える数々の欠点に呆れ返り、姿を消してしまっていました。ユカはシルバー王妃のために、十二のクレヨンの町をゴールデン国王を探しに旅立つことにしました。

 

 

シルバー王妃は、それぞれの町で散らかし癖・偏食・自慢屋という数々の自身の欠点と向き合っていくのでした。十二ヶ月に渡る旅を通じ、お妃にふさわしい品格を備えることが出来たシルバー王妃は、再会したゴールデン国王の心を取り戻すことが出来たのでした。

この物語の最大の魅力は、十二あるクレヨンの町の描写にあります。ピンク色・水色・灰色と、町を治める大臣たちの色に染められた町はそれぞれに十二ヶ月季節を持っています。ユカとシルバー王妃が、町の持つ色と季節に合わせた洋服に着替え、旅する様子が彩り豊かな表現で綴られ、読者の心をワクワクさせてくれます。

クレヨン大臣たちをはじめ、クレヨンの町に住む住民達もユニークなキャラクターを持っており、王妃が欠点を克服するなかでの手助けをしてくれます。中でも、王妃の欠点を鏡合わせのように持つ登場人物たちの存在は、「人のふり見て我がふり直せ」という教訓を唱っているような気がします。

      (ばーまー)

「クレヨン王国の十二か月」

福永令三 講談社(初版1980年/新装版2011年11月)