ピース・ヴィレッジ

 

震災以降、何かしらその影響がある作品が多数発表されていますが、児童書ではどうなんだろう、と思っていました。この作品は直接触れられている分けれはないものの、社会的に複雑な環境の中で成長していく姿が、子どもの目線で描かれている、と感じました。

主人公は、米軍基地のある町に住む小学6年生の楓。アメリカ人兵士やインド人の店員など外国人がまわりにたくさんいて、お父さんが経営するスナックも米軍相手の店。お母さんの妹は料理家らしいけれど、ふらっとどこかへ出て行って帰ってきません。親友紀理ちゃんのお父さんは活動家で、一人反戦のビラを撒いていて、入院したお父さんの代わりに、中1の紀理ちゃんもビラ配りをするといいます。

 

楓はテレビの戦争の場面が怖くて夢にまで出てきて、いつ起こるかと思うと不安で仕方がないのですが、お母さんには「起きやしないって」といなされます。

そんな様々なことを、子どもの楓はフラットに体験し、無意識のうちに自我に影響を受けている様子がわかります。善悪や優先順位など大人の論理ではなく、自分自身が感じることを、時間をかけて表現していく過程が描かれていて、読む方もじっくり向き合うことを求められる物語でした。

 (makio)

『ピース・ヴィレッジ』
岩瀬成子著
偕成社 2011年10月