ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち

 

本の雑誌が選ぶ2011年度文庫ベスト第1位、本屋大賞候補、と大人気の作品です。

 

鎌倉の片隅でひっそりと営まれている古書店、店主の栞子さんは黒髪の美しい女性、大怪我を追い、ただいま入院中。人見知りでおとなしいが、本の知識は並大抵でなく、古書を目の前にすると人が変わったように生き生きして、病院にいながら数々の謎を解く。と、読者を引きつける要素満載の設定です。

古書や文学の部分は本好き、黒髪の眼鏡美女描写はラノベファン、舞台の鎌倉は大人女性、とそれぞれ読書対象が違うのでは、という気もしましたが、それぞれが濃すぎずほどよくブレンドされ、みんなが好きなミステリーを軸に話が進むので、誰からも好感が持たれるのかもしれません。そんな傾向のヒット作が最近多いですね。最近の児童新書にも通じる物があるかも。

 

そんなわけで人によって好きなポイントが違いそうですが、ティーンズが共感しそうなのは、女子高生が登場する第二話、「小山清『落ち穂広ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)」。恋愛に夢中な女子高生と、貴重な古書。相容れないものが出会い、起こした行動や、巻き込まれた人々と関わり変化していく様子が、さわやかです。

 

実際若者が古書にふれることはあまりないと思いますが(新古書でなく)、本がわざわざ「紙の本」と呼ばれるようになった今、スピン、アンカット、小口、初版本など、「紙の本」ならではの表現を楽しむ、という読み方もあるかもしれません。 

(makio)

『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』

三上 延 著 メディアワークス文庫 2011年3月