円卓

 最近面白かった本、として各所で聞いたのが、西加奈子『円卓』です。

 

 YAジャンルではありませんが、『さくら』『きいろいゾウ』などで若い読者も多い作家、という印象はありましたが、実は内容紹介など(感動作、というような)から、少々手が伸びにくかった気がします。

 

 しかし『円卓』はよかった! 若い世代にもおすすめしたい作品です。

 大家族に愛され、裕福ではないけれど幸福に暮らす小学3年生の琴子(こっこ)は、その凡庸さを毛嫌いし、8歳にして好きな言葉が「孤独」。複雑な境遇の同級生に憧れ、気になる言葉を自由帳に書き付け、不満や疑問を抱えながらも奔放にふるまうこっこのほほえましい物語、として前半は進んでいきます。関西弁のしょうもない会話と、こっこの心のモヤモヤがいい具合にバランスよく、笑えます。

 

 このまま「いいお話」で終わるかと思いきや、中盤から趣が変わります。悩みや憧れが自分の頭の中だけで完結していたこっこが、ある出来事に遭遇し、初めての感情を実感として知ることになります。少々不穏な描写もありますが、そのカタルシスが清々しく、他者との新たな関わりにつながるラストは感動的でした。

 「こっこは小三だけど中二病」と評していたレビューがありましたが、確かに。著者ブログで「小学三年生を経験したすべての方に」読んでほしい、とありましたが、つい最近まで小学生だった中二あたりにこそ、すすめてみたい気がします。

(神谷巻尾)

『円卓』

西加奈子 文藝春秋 2011年3月