しあわせは子猫のかたち

 

 角川つばさ文庫版、乙一作品です。2000年に角川スニーカー文庫『失踪HOLIDAY』に収録の形で発表、つばさ文庫では同じ2作品を、表題作を変えて刊行となっています。


「しあわせは子猫のかたち」は、孤独に生きる大学生が、引っ越し先で先住者の幽霊と、彼女が残した子猫と暮らしながら、しだいに心を開いていく、というお話。過去の事件やミステリー、人との交流など、60ページ程度の短編にさまざまな要素が入り、しかもユーモアもありつつ、感動も覚えます。(黒い方じゃない)乙一の魅力が凝縮して、まさしく良作です。

 そう考えると、わざわざこの短編を表題作にしてつばさ文庫レーベルから刊行したのもうなずけます。

 表紙も、水彩画タッチの女の子から、ラノベ挿画風のメガネ男子となり、小中学生の女の子たちがいかにも手に取りやすい。読めば面白いに決まっているので、そこから乙一ワールドに入っていく子が増えれば、つばさ文庫の作戦勝ちといえるでしょう。

 「失踪ホリデイ」(タイトル変更)の方も、コメディタッチのミステリー、謎解き部分も読み応えがあり、児童書新書読みの女の子たちが気に入りそうです。

 実は、つばさ文庫初挑戦でしたが、うまいなあ色々な意味で、というのが実感でした。

(神谷巻尾)

『しあわせは子猫のかたち』

乙一(角川つばさ文庫)2011年2月