こんな私が大嫌い!

 よりみちパン!セシリーズ、今回は思春期の中高生から大人まで自分にコンプレックスのあるかた必見です!著者は中村うさぎさん。

 ラノベの作家としてブレイクした方だそうですがどちらかというと破天荒なエッセイが有名ですね。自らの買い物依存症を暴露したのを皮切りに自分のイヤなところをこれでもか!という感じで書き続けています。露悪趣味があるのか?と思いますが視点が冷静なので読めない・読みたくない辛いレベルにならないのが力量です。

 自分のことが好きですか?って聞かれて「大好きよ!」っと言える10代って、どれくらいいるんでしょう?
 少なくともワタシは10代のころ、いや、もっと後まで自分と自分にまつわるもろもろのコトやモノetcがイヤでした。いまはどうかな。イヤではないですが「自分だもん、しょーがないよね」ってとこでしょうか。好きというよりもあきらめたとか受け入れたというのが近い感覚かも。
 「若いっていいわね」っていうのは年をとったから言えることw

 若いころってパワーがあふれてるといえば聞こえがいいですがありあまり過ぎて空まわり、なんてことも多くってツラーイ部分もたくさんありました。また感覚が鋭くて繊細なもんだからきついのが余計に響くんだ。

 

 でそういうつらさについてよーくわかっているのが、中村うさぎさんです。
 本書で書いているんですが自分嫌い歴が長い人なんですね。そしてアクティブに行動しちゃう人。
 顔が気に入らない、って整形しちゃってしかも作家さんで発表するメディアがあったりしてそれを自分でレポートしたりするんですよ。
 彼女の買い物依存症のアレコレなんかから始まった一連の自分語りシリーズワタシはとびとびにしか読んでいませんがすごいなぁ★って思います。良くも悪くもね。
 そしてそんなあれこれをくぐりぬけたあとYA世代の子たちに語りかけるように本書が書かれているわけです。

 自分と人を比べることについて顔についてカラダについて自己評価について性格について
などなど
 冷静でありながら、コンプレックスに悩んでいる側に立った視点で書いているので実行できる・できないはともかく「他人事だからそんなふうにいえるんだ」みたいなきれいごとは一切ありません。
 説得力もあります。だからといって、全部の考えが「そうだ、そうだ」ってものでもありませんけどね。(ワタシは整形に関しては否定派なので、そのへんは理解できても共感できませんでした)
 中村うさぎさんの体験とそれに基づいたお話なので読むことによって新しい視点が手に入ってうーん、そういう考え方もあるのかって自分を見る目がちょっとだけ変わるかも?
くらいの期待で読むのがいいように思います。

 ちなみに大人の女性はChapter4「自分嫌い」という呪いChapter5「自己評価って上げられるの?」あたりは立ち読みでいいので一読しておくといいのでは?と思います。ヘタな自己啓発本よりはるかに冷静な分析がされてますので目からウロコの可能性高し、です。

 この本で残念なのは感激した場合、中村さんが書いている続編というか次に何を読もうかな?のおススメ本がいまのところ見当たらないことですね。
 大人向け、かつ、実体験の本がほとんどでそれなりに面白いのですがこのようにまとまったかたちでもなくそれほど内容がこなれていない作品もアリです。彼女の体験について詳しく知りたいのでなければ、ワタシはあんまりおススメしないかなぁ。

 といっても、それでこの本の価値が下がるわけではありませんのでぜひご一読をどうぞ。
(イラストは、例によって個人的にはちょっとビミョ—だと思いますが合ってない、ってほどではないです。よりみちパン!セのシリーズはイラストレーターさんが決まっているみたいですので仕方ない部分、ありますねー★)

 ところどころ否定的に書いてしまっていますがそれもこの本が好きすぎて、キライな部分が大きく感じてしまっているのかもしれません。「自分嫌いは、実は自分が大好きなのである」と通じるものがあるかもしれませんね。

ともあれ良い本でした!

(しろいまちこ)

 

『こんな私が大嫌い!』中村うさぎ

理論社 よりみちパン!セ2009年11月