アンナの土星

 著者の益田ミリさんはイラストレーターさんだそうです。すみません、ワタシ実はこの方漫画家さんだと思ってました…。「すーちゃん」で初めて知った方だったので。エッセイも読んでます。好きなんですよ。で、この本は初小説だというので、これは読まなきゃと。


 楽天ブックス【内容情報】(「BOOK」データベースより)お兄ちゃんの笑い声が好きだった。お兄ちゃんの笑い声を単語にするならば「真実」だと思う。嘘のない、やわらかな笑い声だった。14歳のアンナは、両親と大学生のお兄ちゃんとの4人家族。アンナは、毎晩のように屋上の望遠鏡で星を見ているお兄ちゃんから、宇宙の話を聞くのが好きだった…。みずみずしい痛みと喜び、不安と成長、地上と星空。14歳だった全ての人に贈る青春小説。

 
 なんか上の内容読むと、お兄ちゃんがいなくなったり死んじゃったりする話じゃないか?とか思っちゃいませんか?(私だけ?)大丈夫、お兄ちゃん ちゃんと生きてます(笑)。

 

 アンナはフツーの中学生です。学校は窮屈だけど、仲のいい友達がいる。バスケット部。お兄ちゃんとはけっこう仲がいいほう。スカートはちょっと短めにしてるけど、3年生ににらまれない程度に気をつけてる。


 そうそう、中学って先輩・後輩っていうのが強いしいろいろきゅうくつなんだっけって思いだします。友だちや部活や、とにかく人間関係いろいろ。自分が繊細だし、距離もそうとう近いからね〜と今なら余裕があるから言えるけど当時はもういっぱいいっぱい。元気なんだけど、その行き場が身近すぎておぼれそうな感じ。

 でもだからってつらいだけじゃなくってその中にあるちっちゃな楽しいことや面白いこともちゃんと味わってる。


 そんな毎日の中天文オタクで理系の学校に行ってるお兄ちゃんは宇宙の話を日常会話でしていてなんとなく息がつけるようなことを話してくれたりしています。


 初夏も秋も冬も春休みもそんなふうにして過ぎていって他の家族は知らないんだけどアンナは推測しています。たぶんお兄ちゃん、彼女できたなって。アンナのスルドイ視線は、お兄ちゃんにもちゃんと向いていたのでした。


 アンナというか、著者のミリさんの視点は「女の子」です。気にしなければ見逃しちゃうようなちょっとしたところを拾ってちょっとシニカルででも、いいところだってしっかり見ています。

 ミリさんの言葉づかいって特徴があって、それはアンナの口調になっていてもしかするとそれが気になる、って人もいるかもしれませんが今回はうまくマッチしてるんじゃないかな。


 日常というミクロと星というマクロがうまく組み合わされている14歳の日常の物語です。

 (しろいまちこ)

『アンナの土星』

益田ミリ メディアファクトリー  2009年