今年で終了、赤い鳥3賞

 児童書の文学賞ってどんなのがあるの? どこから、どんな作家が出てきているんだろう、と常々気になっていたので、ここで少しずつ調べていこうと思います。

 

 始めたところで、いきなり終わる話になりますが、児童書の代表的な文学賞、「赤い鳥3賞」が今年で終了、とのこと。鈴木三重吉が始めた児童雑誌「赤い鳥」をルーツに誕生した「赤い鳥文学賞」は40回、「赤い鳥さし絵賞」が24回、「ごんぎつね」で著名な新美南吉にちなんだ「新美南吉児童文学賞」は28回で、その幕を閉じました。

 「赤い鳥文学賞」第1回受賞作は、椋鳩十「マヤの一生」、松谷みよ子「モモちゃんとアカネ」。1971年のことですが、今となっては大御所へのダブル授賞で、当時の児童文学の隆盛ぶりが感じられます。その後も、第4回舟崎克彦「ぽっぺん先生と帰らずの沼」、第8回宮川ひろ「夜のかげぼうし」、第13回いぬいとみこ「山んば見習いのむすめ、第18回岡田淳「扉のむこうの物語」、第27回萩原規子「薄紅天女」など、錚々たる作家が授賞しています。ただ2000年代以降の受賞作家に、少しなじみが薄いような気がしますが…

 一方、新美南吉児童文学賞は、1983年から始まり第1回は、北川幸比古「むずかしい本」、佐野洋子「わたしが妹だったとき」の2作授賞第8回石井睦美「五月のはじめ、日曜日の朝」、第13回梨木香歩「西の魔女が死んだ」、第15回富安陽子「小さなスズナ姫」、第18回花形みつる「サイテーなあいつ」、22回小森香折「ニコルの塔」など、今の主流の書き手を輩出してきた、という印象があります。

 最後の授賞となったのは、赤い鳥文学賞が岩崎京子「建具職人の千太郎」、新美南吉賞が三輪裕子「優しい音」でした。「建具職人〜」は、江戸時代を舞台に、建具屋に奉公に出された少年が職人をめざす成長物語。この夏の課題図書にもなっていましたね。

 「優しい音」は、機会があって読んでみました。ちょっとしたきっかけで仲間はずれにされた女子中学生が、顔のわからない相手とのメールに励まされて勇気をもらい、積極的になっていく、という、タイトルどおり、優しいお話でした。

 課題図書と、優しいお話。確かに授賞に値する作品なのでしょうが、読み手側の子どもに、今どう伝わっているのか。それは賞の終了とも関わっているのでは、と思ってしまうのでした。

(神谷巻尾)