園芸少年

 今年度、第50回日本児童文学者協会賞受賞作品です。

 高校に入学したばかりの男子3人が、成り行きで廃部寸前の園芸部に入り、花壇の世話をしながら成長してゆく、という部活小説です。

 

 主人公の3人、学校に期待せずそつなく過ごそうとする篠崎、不良あがりの大和田、保健室登校の庄司は、それぞれ全く違うバックグランドを持っています。それが園芸を通してお互い理解しあい、前向きになっていく姿はさわやかで、素直に好感が持てます。

 部活を通して成長する、いわゆる部活小説/漫画は最近大変多いですよね。人間関係や競技の描写など、魅力的なテーマがたくさんあるし、マイナースポーツや文化部などこれまで注目されてこなかった部活作品もたくさん出てきて、面白いものが多いと思います。

 

 特にマイナー部活ものは、マイナーならではの、青春!熱血!ではない、淡々とした日常やごくふつうの中高生の姿が感じられる作品が多いような気がします。 

 この作品も、園芸という地道で静かな活動が舞台だし、主人公たちは周りから浮いてたり、目立たない子たち。学校の中心にはなりえない場所、子どもが、土をおこし、種をまき、水やりをする、という一連の流れととも彼らの日々の小さな変化も、自然と見えてきて、共感できます。

 いじめ、友人関係の悩みなど、思春期ならではテーマもあるけれど、深刻になったり妙に盛り上げたりしないところもいいです。

 夏休みに合宿だ、とはりきって出かけたものの、目的地の公園がしまっていたり、キャンプに飽きて24時間営業の食堂で一夜を過ごす、という展開、むしろ青春!とニヤリとしました。

 

 今見たら、昨年8月刊行の本なんですね。確かに高校1年の夏に読むと、ちょっと元気がでそうな本かもしれません。

(神谷巻尾)

『園芸少年』

魚住直子(講談社) 2009年8月