漂泊の王の伝説

 外国の作品をあまり好まない私が近年特に気に入った本です。

 スペイン人作家による砂漠の国を舞台にしたアラビアンナイト風のファンタジーです。

 

 主人公はキンダ王国の王子ワリード。

 「若くて、端正で、りりしくて、寛大で、分別があり、聡明で、、勇敢で、すぐれた戦士というだけでなく、教養人でもあった」と作中に書かれているとおりに完璧クンです。

 

 そんなワリードが情熱を傾けて、自信を持っているのが「詩」でした。 ほかの誰よりも優れた才能を持っていると自信満々ですが、詩のコンクールを三度開き、三度とも身分の低い貧しい絨毯織りの男に完膚なきまでに負け、プライドも打ち砕かれたことで、ワリードと絨毯織りの男に苛酷な運命の輪が回り始めてしまうのです。

 プロローグで、ワリードが命の危機にさらされている場面から始まるので、私はバッドエンドに繋がる展開ばかりをつい考えながら、ドキドキこわごわ読み進めていきました。

 

 また、ワリードが転落し漂泊するまでの話が全体の三分の一ぐらいなので、そこもまた苦しい。小心者なので(笑) 父である王が、死ぬ間際に言って聞かせる言葉も心に残りました。


 「われわれはみな、自分のすることに責任がある。よい行いにも悪い行いにも。そして、人生はかならず、おまえのした分だけ返してよこす。忘れるなよ。人生はそのつぐないをさせるということを。」

 でも、ワリードはこの時点では理解してなかったんですね。

 

 やがて漂泊することになるワリード。

 盗賊、牧人、愛すべき女性、富豪などに出会い、その中で成長し変わっていきます。

 やはり、児童書は主人公が成長しなきゃ、と思います。 


 最近の作家であり、訳者の解説によると日本の漫画やアニメが好きということで・・・。だからなのか、読んでいて情景が頭に容易に浮かんできました。アニメかラジオドラマになったら良さそうな感じです。私は見たい(聴きたい)です。

(ニャン左衛門)

 

『漂泊の王の伝説』ラウラ・ガジェゴ ガルシア

偕成社 2008年