2012年

4月

23日

クレヨン王国の十二か月

大晦日の夜、ユカは部屋の片隅から聞こえる話声で目を覚ましました。十二色のクレヨン大臣たちが、クレヨン王国のゴールデン国王の失踪について会議を行っていたのです。

 

ゴールデン国王は、お妃であるシルバー王妃の抱える数々の欠点に呆れ返り、姿を消してしまっていました。ユカはシルバー王妃のために、十二のクレヨンの町をゴールデン国王を探しに旅立つことにしました。

 

 

シルバー王妃は、それぞれの町で散らかし癖・偏食・自慢屋という数々の自身の欠点と向き合っていくのでした。十二ヶ月に渡る旅を通じ、お妃にふさわしい品格を備えることが出来たシルバー王妃は、再会したゴールデン国王の心を取り戻すことが出来たのでした。

この物語の最大の魅力は、十二あるクレヨンの町の描写にあります。ピンク色・水色・灰色と、町を治める大臣たちの色に染められた町はそれぞれに十二ヶ月季節を持っています。ユカとシルバー王妃が、町の持つ色と季節に合わせた洋服に着替え、旅する様子が彩り豊かな表現で綴られ、読者の心をワクワクさせてくれます。

クレヨン大臣たちをはじめ、クレヨンの町に住む住民達もユニークなキャラクターを持っており、王妃が欠点を克服するなかでの手助けをしてくれます。中でも、王妃の欠点を鏡合わせのように持つ登場人物たちの存在は、「人のふり見て我がふり直せ」という教訓を唱っているような気がします。

      (ばーまー)

「クレヨン王国の十二か月」

福永令三 講談社(初版1980年/新装版2011年11月)


 

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2012年

2月

23日

盗まれたおとぎ話

「シンデレラ」や「塔の上のラプンツェル」、おどぎ話の不朽の名作たちの世界へ飛ぶ込むファンタジーです。

 

トムは、おとぎの国に住む冒険家一家トゥルーハート家の6人兄弟末っ子。一家は、おとぎ話工房より届くあらすじに従って、主人公として冒険に出発し、お話をエンディングへと導いていくことを家業としています。ある日、おとぎ話の世界に繰り出したお兄さん達が、戻ってこなくなってしまいおとぎ話が終わらなくなってしまいました。末っ子トムは、心配するお母さんのためにお兄さん達を探し出し、おとぎ話を終わらせるべく、初めての冒険に旅立ちます。

 

トムの冒険には、おとぎ話の登場人物が物語の鍵を握る存在として現れ、手助けをしてくれます。りんごを食べて眠ったまま目を覚まさない黒髪のお姫様を守る小人達や「ヘンゼルとグレーテル」から飛び出してきたお菓子の家が物語を彩ります。それらのおとぎ話をもう1度読み直してから、本書を再び手に取れば更にまた楽しめそうです。

 

物語の挿絵は、イラストレータでもある作者イアン氏が自ら絵筆を執っています。影絵のような不思議な雰囲気の絵が物語にピッタリ合っていて、目を楽しませてくれます。

(ばーまー)

 

『盗まれたおとぎ話』

イアン・ベック著/松岡ハリス佑子翻訳(静山社)2012年1月

 

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