2012年

5月

01日

夢の彼方への旅

メチャメチャ好みの本でした〜♪

 

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
ロンドンの寄宿学校でくらすマイアは、列車事故で両親を亡くし、家庭教師のミントン先生とともに、ブラジルに住む親戚のもとにひきとられることになった。長い船旅のすえ、ふたりがたどりついたのは、ゴムの栽培によって富を手にした入植者たちがジャングルのなかに建設した美しい町だった。ヨーロッパの文明と圧倒的な自然が混在する世界で、マイアはしだいにアマゾンでの生活に魅せられていく。物語の名手イボットソンが、エキゾチックな世界を舞台にそのストーリーテラーぶりを遺憾なく発揮した会心の傑作。スマーティーズ賞金賞受賞作。

著者はエヴァ・イボットソンさん
出版社は偕成社です。

イボットソンさんの作品は
アレックスとゆうれいたち
幽霊派遣会社
を過去記事で紹介しています。

今まで紹介したイボットソン作品2冊は幽霊モノでしたが
この「夢の彼方への旅」は全然テーマが違います。
YAと児童書の中間くらいな作品なので
どちらにするか悩んだ後、本の厚さや文字の大きさなどでYAにしました。

 

舞台になるアマゾン。
このエキゾティックさに反応するか、しないか。
主人公のマイアは反応しました。彼女は図書館の本でこんな記述を見つけます。(以下「 」内、本文より抜粋)
「アマゾンを緑の地獄だと思いこんでいれば、このすばらしい土地に恐怖と偏見を持ちこむだけである。その場所が、地獄になるか楽園になるかは、あなたしだいなのだ。勇気とひらかれたココロを持ってその地にのぞむ人は、かならずそこに楽園を見いだすことだろう」
マイアは楽園を見いだすことを決意しました。
学園の他の子たちは、同じようにアマゾンについて調べても
怖ろしい場所であるという記述しか見つけられませんでした。

これをね
『どんな場所にでも共通すること』
ってくくっちゃうことはわりとカンタンかな…と思います。
抜粋しながらそんなふうにまとめそうにもなりましたしね。

でも
それより強く
この本で伝えたいのは
アマゾンという場所への憧れ
なんです。

反応する場所って、人によって様々です。
たとえば、先日紹介した『少年』の著者、ロアルド・ダールさんはアフリカに憧れてルンルンで赴任しましたし
オンム・セティことドロシー・ルイーズ・イーディーさんは幼いころからエジプトに焦がれるように想いを馳せて移住しました。

そして
マイアと家庭教師のミントン先生は
アマゾンに魅せられ、その自然の中で過ごしたかったのです。

実際のところ
マイアをひきとった親戚の人たちは
アマゾンに魅せられた人々ではなかったので
彼女たちはなかなかに苦労します。

策を練り、実行するのはミントン先生。
でも、それをマイアに事前に知らせることはしません。
水くさい?
いいえ、なにかあったときにマイアを守るには
あんまりいろんなことを知らせない方がいいからです。
大事な部分に来たときは、ちゃんと打ち明けていますしね。

このミントン先生がすごく頼もしくて
安心して読める大きな要素になっています。
奇妙な風習や奇妙な人に出会ったときに「大丈夫」って思える人がいるって
現実でも、本の中でも安心できるものですね。

しかし
このミントン先生
アマゾン行きの船あたりから、なんとなく
タダモノではない雰囲気がありまして
アマゾンでは一筋縄ではいかないかっちょよさを発揮。
<しなくてはいけないこと>と<自分で自由の道を選ばせる>ことを両立させようとするなんて
そんじょそこらの女性では考えつきもしないでしょう。
こんなふうにまっとうでありながら冒険心あふれる大人が見守ってくれるのですから
周囲の環境がちょっとくらいアレでも、道は見つかるというものです!

この本には、マイアを中心とするメインの物語があり
それより一世代前のサイドストーリーがあります。
そのサイドストーリーで重要な役割を果たしていたのが、このミントン先生なのでした。

メインの物語も、実をいうとアマゾンのストーリーとイギリスのストーリーがあり
こんなふうに書くとごちゃごちゃしているように思われそうなんですが
読んでみるとそれぞれの絡みかたもわかりやすいものですから
読みにくさはないはずです。
ワタシ、こういういろんなストーリーが伏線的に起きて、絡んではまる物語、好きなんですよねぇ♪

この『はまる』感は
物語でいうところの『自分の居場所』と共通するものがあるでしょうね。

今回、ワタシにしてはめずらしく抜粋が多いですが
これが自分の居場所だ、と思える場所を得られることについて
ミントン先生の名言を以下に抜粋。

「ご両親が亡くなったとき、マイアの中でなにかがこわれてしまったのだと思います。でもそれが、アマゾンの大自然の中で癒された。(中略)子どもは大きな人生を歩まなければなりません……それだけの力を内に秘めている子どもならば。そしてマイアはその力を持っているんです」

誰かを亡くす、ということに限らず
人の中で何かが壊れてしまうことって、あります。
でも、人は、それを癒すこともまたできるのです。

 

人によっては、どこかの場所にいることで。
人によっては、なにかを自分がすることで。
人を読むことかも?

この本とアマゾンの自然や、そこに住む人々、そこを楽しむ人々の物語で
少しでも気持ちが癒される人がいたらいいな…と思います。

(しろいまちこ/ワタシノスキナコドモノ本)

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2011年

5月

18日

愛をみつけたうさぎ

写真?と思うような表紙ですが、絵なんです。

 

文章はケイト・ディカミロさん。絵はバグラム・イバトーリーンさん。出版社はポプラ社です。著者のディカミロさんの作品はAmazonの紹介文にもある通り「ねずみの騎士デスぺローの物語」が有名らしいです。「デスぺロー」は2004年のニューベリー賞を受賞したとか。今度読んでみなくっちゃ。


うさぎの人形って珍しいですよね。それもそのはず、おばあさんから孫へのオーダー品なんです。ですが、実のところ、このうさぎのエドワードはおばあさんを失望させています。理由ははっきり書かれていませんが、理由はその部分まで読み進めた人ならわかるはず、です。この<人形のあらまほしき資質>みたいなものについては、ルーマー・ゴッデンも物語で書いていますね。(1冊でなく数冊に共通で書かれていたような?)

 

訳者のあとがきによると、人形の物語ということで「ピノキオ」を思い出したようですがワタシは内容からなんとなく「100万回生きたねこ」を連想しました。愛を知らない傲慢さと、愛を知った後の悲しさの対比からじゃないかなと思っています。
著者は日本の読者へのあとがきで「旅についての物語」であり、「心の旅についての物語でもあります」と書いていますが邦題のように「愛を見つけ」るまでの物語、というのが読んでいてしっくりきました。この邦題、うまいなー。ちなみに原題はサブタイトルの「エドワード・テュレインの奇跡の旅」です。

そして、この愛って普遍的な愛ともとれますが流れ的に、とっても恋愛のムードに近い感じがするんです。ワタシだけかな?


他の世界を知らない幼い時期、保護してくれる人たちの無償の愛を感じつつ、それを当たり前と思いなんら関心を持たない傲慢さ。やがてとある事故により、今までのものをすべて手放したままひとりぼっちになってしまう。新しい人たちとの出会い。愛されることを嬉しく思うが、相手の思い込みなど、気に入らない部分も受け入れねばならない。自分の意志ではない別れ。そしてさらなる新しい出会い。交流する人が増え、内面が豊かになっていく。けれど出会いと愛と別れがくりかえされることで心がくだけそうな悲しみを何度も味わい愛などいらないと諦めようとする。しかし、歳月がたつうち、心を開いて待つことをおぼえやがて運命の出会いがやってきた…。


どうでしょう、こんなふうに書くと、とってもロマンスな感じしませんか?

主人公はうさぎの人形(しかも男性)なので、読んでいるときは彼の感覚に同調して恋愛なんて思いもしませんが読み終わって思い返しながら、ブログにどうやって書こうかな、なんて感想を構築していたらああ、これって、恋に通じる愛の物語なんだ…と思い女の子や、女の人に読んでほしいなぁとしみじみ感じたのでした。

本の作りや挿絵も女性向けかな。写真と見まごうばかりの精密かつ繊細な絵はカラーもモノクロも存在感たっぷり。豪華な造りで、ふんだんにカラーの挿絵がはさみこまれています。きれいで雰囲気あってクラシックな懐かしさにあふれていますよ。物語を読む前に、挿絵だけパラパラと眺めるのもステキです。カラー挿絵に物語の該当部分がキャプションとしてちょっと書かれてるのを見てそうそう、昔の子どもの本ってこんなだったよねぇと思いだされる方もいらっしゃるのでは?

読み終わった後、またあらためて何度もページを繰りたくなるそんなムードあるこの作品。人形が好きな方も、そうでない方も一度手にとってみていただきたい1冊です。

(しろいまちこ)

『愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅 』

ケイト ディカミロ (著), バグラム イバトーリーン (イラスト)子安 亜弥 (翻訳) 

ポプラ社 2006年

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2010年

11月

04日

こんな私が大嫌い!

 よりみちパン!セシリーズ、今回は思春期の中高生から大人まで自分にコンプレックスのあるかた必見です!著者は中村うさぎさん。

 ラノベの作家としてブレイクした方だそうですがどちらかというと破天荒なエッセイが有名ですね。自らの買い物依存症を暴露したのを皮切りに自分のイヤなところをこれでもか!という感じで書き続けています。露悪趣味があるのか?と思いますが視点が冷静なので読めない・読みたくない辛いレベルにならないのが力量です。

 自分のことが好きですか?って聞かれて「大好きよ!」っと言える10代って、どれくらいいるんでしょう?
 少なくともワタシは10代のころ、いや、もっと後まで自分と自分にまつわるもろもろのコトやモノetcがイヤでした。いまはどうかな。イヤではないですが「自分だもん、しょーがないよね」ってとこでしょうか。好きというよりもあきらめたとか受け入れたというのが近い感覚かも。
 「若いっていいわね」っていうのは年をとったから言えることw

 若いころってパワーがあふれてるといえば聞こえがいいですがありあまり過ぎて空まわり、なんてことも多くってツラーイ部分もたくさんありました。また感覚が鋭くて繊細なもんだからきついのが余計に響くんだ。

 

 でそういうつらさについてよーくわかっているのが、中村うさぎさんです。
 本書で書いているんですが自分嫌い歴が長い人なんですね。そしてアクティブに行動しちゃう人。
 顔が気に入らない、って整形しちゃってしかも作家さんで発表するメディアがあったりしてそれを自分でレポートしたりするんですよ。
 彼女の買い物依存症のアレコレなんかから始まった一連の自分語りシリーズワタシはとびとびにしか読んでいませんがすごいなぁ★って思います。良くも悪くもね。
 そしてそんなあれこれをくぐりぬけたあとYA世代の子たちに語りかけるように本書が書かれているわけです。

 自分と人を比べることについて顔についてカラダについて自己評価について性格について
などなど
 冷静でありながら、コンプレックスに悩んでいる側に立った視点で書いているので実行できる・できないはともかく「他人事だからそんなふうにいえるんだ」みたいなきれいごとは一切ありません。
 説得力もあります。だからといって、全部の考えが「そうだ、そうだ」ってものでもありませんけどね。(ワタシは整形に関しては否定派なので、そのへんは理解できても共感できませんでした)
 中村うさぎさんの体験とそれに基づいたお話なので読むことによって新しい視点が手に入ってうーん、そういう考え方もあるのかって自分を見る目がちょっとだけ変わるかも?
くらいの期待で読むのがいいように思います。

 ちなみに大人の女性はChapter4「自分嫌い」という呪いChapter5「自己評価って上げられるの?」あたりは立ち読みでいいので一読しておくといいのでは?と思います。ヘタな自己啓発本よりはるかに冷静な分析がされてますので目からウロコの可能性高し、です。

 この本で残念なのは感激した場合、中村さんが書いている続編というか次に何を読もうかな?のおススメ本がいまのところ見当たらないことですね。
 大人向け、かつ、実体験の本がほとんどでそれなりに面白いのですがこのようにまとまったかたちでもなくそれほど内容がこなれていない作品もアリです。彼女の体験について詳しく知りたいのでなければ、ワタシはあんまりおススメしないかなぁ。

 といっても、それでこの本の価値が下がるわけではありませんのでぜひご一読をどうぞ。
(イラストは、例によって個人的にはちょっとビミョ—だと思いますが合ってない、ってほどではないです。よりみちパン!セのシリーズはイラストレーターさんが決まっているみたいですので仕方ない部分、ありますねー★)

 ところどころ否定的に書いてしまっていますがそれもこの本が好きすぎて、キライな部分が大きく感じてしまっているのかもしれません。「自分嫌いは、実は自分が大好きなのである」と通じるものがあるかもしれませんね。

ともあれ良い本でした!

(しろいまちこ)

 

『こんな私が大嫌い!』中村うさぎ

理論社 よりみちパン!セ2009年11月

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2010年

9月

30日

アンナの土星

 著者の益田ミリさんはイラストレーターさんだそうです。すみません、ワタシ実はこの方漫画家さんだと思ってました…。「すーちゃん」で初めて知った方だったので。エッセイも読んでます。好きなんですよ。で、この本は初小説だというので、これは読まなきゃと。


 楽天ブックス【内容情報】(「BOOK」データベースより)お兄ちゃんの笑い声が好きだった。お兄ちゃんの笑い声を単語にするならば「真実」だと思う。嘘のない、やわらかな笑い声だった。14歳のアンナは、両親と大学生のお兄ちゃんとの4人家族。アンナは、毎晩のように屋上の望遠鏡で星を見ているお兄ちゃんから、宇宙の話を聞くのが好きだった…。みずみずしい痛みと喜び、不安と成長、地上と星空。14歳だった全ての人に贈る青春小説。

 
 なんか上の内容読むと、お兄ちゃんがいなくなったり死んじゃったりする話じゃないか?とか思っちゃいませんか?(私だけ?)大丈夫、お兄ちゃん ちゃんと生きてます(笑)。

 

 アンナはフツーの中学生です。学校は窮屈だけど、仲のいい友達がいる。バスケット部。お兄ちゃんとはけっこう仲がいいほう。スカートはちょっと短めにしてるけど、3年生ににらまれない程度に気をつけてる。


 そうそう、中学って先輩・後輩っていうのが強いしいろいろきゅうくつなんだっけって思いだします。友だちや部活や、とにかく人間関係いろいろ。自分が繊細だし、距離もそうとう近いからね〜と今なら余裕があるから言えるけど当時はもういっぱいいっぱい。元気なんだけど、その行き場が身近すぎておぼれそうな感じ。

 でもだからってつらいだけじゃなくってその中にあるちっちゃな楽しいことや面白いこともちゃんと味わってる。


 そんな毎日の中天文オタクで理系の学校に行ってるお兄ちゃんは宇宙の話を日常会話でしていてなんとなく息がつけるようなことを話してくれたりしています。


 初夏も秋も冬も春休みもそんなふうにして過ぎていって他の家族は知らないんだけどアンナは推測しています。たぶんお兄ちゃん、彼女できたなって。アンナのスルドイ視線は、お兄ちゃんにもちゃんと向いていたのでした。


 アンナというか、著者のミリさんの視点は「女の子」です。気にしなければ見逃しちゃうようなちょっとしたところを拾ってちょっとシニカルででも、いいところだってしっかり見ています。

 ミリさんの言葉づかいって特徴があって、それはアンナの口調になっていてもしかするとそれが気になる、って人もいるかもしれませんが今回はうまくマッチしてるんじゃないかな。


 日常というミクロと星というマクロがうまく組み合わされている14歳の日常の物語です。

 (しろいまちこ)

『アンナの土星』

益田ミリ メディアファクトリー  2009年

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2010年

7月

19日

怖い」が好き!

気候が不安定とはいえ、確実に夏に向かっています。
日も長くなっていますし
コワイ本を読むのが楽しくなってくる季節ですね。
と いうわけで今日は怖い話の解説書をご紹介します。

 

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
怖いとは、何か。どうして、何かを怖いと思うのか。─そして、恐怖をおぼえながらも、どうして人 は、この世ならざるモノたちに「萌える」のか。あの世との境目からつかのま立ち現れるモノたちへ、うわさの伝奇・ホラー作家がかぎりない愛情と畏敬の念を 込めて描く、私たちが忘れて久しい「豊かさ」と出会うための、身も心も震わす“恐怖教育”の一冊。

加門七海さんがよりみちパン!セで書き ました。
コワイ本好きなワタシとしては
一気に読んじゃうのがもったいなかったです☆      

以前にてのひら怪談
てのひら怪談2
てのひら怪談 百花繚乱編
の3冊をこのブログで紹介しています。
その後も順調に出版 されていて、今の時期はてのひら怪談(ビーケーワン怪談大賞)の応募をしている時期のはず。

加門さんはその編者のひとりです。
オ カルトっぽい小説やエッセイなどいろいろ書いている方ですが
コドモノ本ではないので、今まで紹介の機会がありませんでした。

(こ の方の怪異に対するスタンスがワタシはわりと好きで何冊か読んでいます。
オカルトに対する姿勢を考えるときに参考になると思いますよ)

一読してみて、さすがにオカルト専門でいろいろ書いている作家さんだなぁと感心。
怖さの4分類とその実例なんか、怪談を書く人・書いてみたい人は 参考にするとゼッタイ役立つと思います☆
薄気味悪い部分もあるので、夜に読むときは注意が必要かもですが。

そして、ものすごく率 直に書いているので、非常に安心して読めます。
「実際に怖い目に遭うのはゴメンだけど、幽霊や妖怪の出てくるような怖い話は大好き」とか『千 の風になって』の『風になったり光になったりしてあなたのそばにいます』という歌詞を聞いたときに「安らかに眠っていてください!近くをうろうろ してないでください!」と思ったとかちょっと笑っちゃうくらいの本音です。

なるほど、こういう人が
(あとがきに書いてあ るように)
怪異体験に「萌え」を感じるんだ〜w

4章にわたって解説的に書かれた「怪」への萌え。
好きではあっても、霊能者などのプロではないので
妙に専門的になるこ とはありません。
この本なら読んだとしても
オカルトにかぶれてヘンなおまじないに走ることもないでしょうから
おうちに買って置い といても大丈夫ですw

そして、この本の紹介をするなら
ちゃんと書かねばなのが
表紙や中のイラストが内容に大変 マッチしていてよろしいです、ということ。

かわいらしさを残しつつ怖さをあらわす。
子どもっぽいかわいらしさ、というのはオカルトやホラーを描くときには独特のテイストになりますね。
そ のうまい活かし方の例が表紙ですので
書店や図書館などで見かけたら、手にとって見てみてください。
イイ感じに“ちょい怖”が感じられると 思いますよ。
ワタシは中で展開されているパラパラマンガにハートわしづかみされましたが
章ごとのイラストもなんてことない挿絵の はずなのに妙に暗さと淋しさがにじんでる感じで緊迫感あります。

そんな感じで内容もイラストも夏向きの一冊。
た ぶん大きい書店なら今の時期は置いてあると思いますので
どうぞぜひお手にとって読んでみてください。

(しろいまちこ)

 

『「怖い」が好き!』

加門七海 理論社(よりみちパン!セ) 2010年3月

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2010年

5月

26日

穴-HOLES-

最初なので、私の一番好きな本をご紹介します。


災難にもいろいろありますが
「まずいときにまずいところにいたために災難にあう」
コレ、なかなか最悪では?と思います。
あなたならそんなときどうしますか?

 

「あんぽんたんのへっぽこりんの豚泥棒のひいひいじいさんのせいだ!」
というジョークを言う
のがスタンリー・イェルナッツの家で代々続いているんです。
彼は4世だからこのジョークはすくなくとも4代続いたジョークなわけ。

しかし、そんな言い訳も通用しないほど

スタンリーの現在の状況は極めつけにマズイ。

有名な野球選手のスニーカーを盗んだという無実の罪で
刑務所の代わりにグリーン・レイク・キャンプに行くことになっちゃった。

グリーン・レイク・キャンプってなに?
悪いことをした少年たちがいくキャンプ。
いったいなにをするところ?
毎日ひとつずつ、穴をほるのさ。
雨が降ったことがない硬い地面に
ひとりがひとつずつ。それが毎日のノルマ。

人里離れていて
毎日天気はカラカラで
黄斑トカゲなんていうサソリなんか目じゃない猛毒持ちの生き物がいる。
一緒に過ごす少年たちは…
ここが刑務所よりはいいから来てる、なんてとこにいるんだもの
言うまでもないよね★
そんなグリーン・レイク・キャンプ。

そこでスタンリーが過ごした間の物語。

文章はわりにシンプルだけど味があるうえキレがいい。
要素も成長あり、友情あり、ラブストーリーあり、サスペンスありとてんこもり。

メインストーリーの間にちらばっているサイドストーリーは
面白いけれど一見関係なさそうにみえる。
でも、それが最後に近づくにつれて
ジグソーパズルのようにどんどんはまっていく快感。
そりゃもう、一気読みするしかないでしょ。

こんなオトクな要素たっぷりの本が面白くないわけがない!
ということで、出版当初は児童書でしたが
現在は講談社から文庫になって出ています。

これから来る暑い季節に
冷たいモノをそばに置いて読むもよし
いろいろガマンして暑いまま
グリーン・レイク・キャンプ風の環境で読むもよし。

小学校高学年くらいから大人まで
男女問わず楽しめる1冊ですので
ぜひ、お手元にどうぞ!

                                 (しろいまちこ)

 

 『穴 HOLES』ルイス・サッカー著 幸田敦子訳

 講談社ユースセレクション講談社文庫 

 

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